Sharp EL-5160J (その2)

この1つ前の記事で、「政党支持率の数学的解釈(その1)」を紹介しました。

EL5160J_FKey

フォーミュラメモリキー

この記事の中で、「標本調査において、母集団から標本の大きさを決める手法」の説明をしましたが、この時、式中の変数をいくつか変化させて計算をしました。
同じ式を用いてその中の変数だけを変化させて計算したいということはしばしば起こりうるものです。

今ではExcelなどの表計算ソフトを用いて計算することが一般的になっていますが、関数電卓を使ってもある程度簡便に計算が出来ます。
今回は、Sharp EL-5160Jの機能を使って、この数式の繰り返し計算を行ってみたいと思います。
なかなか便利ですよwww。

EL-5160Jには、「フォーミュラメモリ」という機能があり、[A]~[F]、[M]、[X]、[Y]の9つのメモリ変数があり、それらを利用できる関数(=フォーミュラメモリ)を4つ(F1~F4)記憶させることが出来ます。
そして、必要なときに任意の関数を呼び出し、式中の変数に値を入れて行くことにより計算が行えるという便利な機能です。
(ただしSharpでは、EL-5160JとEL-5060Jの2機種しか使えない:2012年11月現在)

使い方はいたって簡単です。
では、実際にフォーミュラメモリを使い「標本調査において、母集団から標本の大きさを決める手法」に従って標本数を計算してみましょう。

まず、「政党支持率の数学的解釈(その1)」で示した標本数の式を以下に記します。

\displaystyle{n \geq \frac{N}{\displaystyle{(\frac{e}{Z} )^{2}} \frac{N-1}{P(1-P)} + 1}}

ここで、
n は、必要な標本数・・・これを求めたい!
N は、母集団の人数
e は、最大誤差(要求制度)
Z は、信頼率に対する正規分布点
P は、母集団の比率
とします。

EL-5160Jは使える変数名が少ないので、Nを[A]に、eを[B]に、Zを[C]に、Pを[D]にと、EL-5160Jで利用できる変数として名前を変えて考えます。

 

1)数式をフォーミュラメモリに記憶させます

まず、数式をフォーミュラメモリに記憶させます。この時注意が必要なのですが、「W-Viewモード」で記憶させた数式は「W-Viewモード」でしか使えません。

[A]~[D]のキーを使って、数式通りに式を入力します。

EL5160J_001

数式の入力

間違えなく入力が出来たら、[STO] > [F1]キーを押します。
これで、[F1]キーに数式が記憶されました。

EL5160J_002

[F1]キーへ式を登録

2)フォーミュラメモリを呼び出して使います

ここでは、練習のため[ON/C]を押して表示をクリアしてから呼び出します。慣れてくると、上の画面の状態から計算は始められます。
フォーミュラメモリの呼び出しは、[RCL]キーを押した後、希望する式が登録された[F1]~[F4]を押します。
今回は[F1]を押します。

フォーミュラメモリに記憶された式を表示させた後、[MATH]キーを押して、[1:ALGB]キーを押します(EL-5060Jはメニュー0)。

EL5160J_003

MATHメニュー

3)[1:ALGB]キーを押し、変数[A]を入力

先程決めたように、[A]は母集団の人数Nに対応させているので、104,029,135を入力します。

EL5160J_005

変数[A]へ値を入力する

数字を入力したら[= : ENTER]キーを押します。

先ず最初は、

N =[A] = 104029135
e = [B] = 0.05
Z = [C] = 1.96
P = [D] = 0.5

の値を入力することとします。

4) 続いて変数[B]~[D]の値を入力

式中の変数とEL-5160Jに対応させた変数との関係に注意しながら、値を入力していきます。

EL5160J_006

変数[B]の入力

EL5160J_007

変数[C]の入力

EL5160J_008

変数[D]の入力

 5)計算結果を表示させる

式中の全ての変数の入力が終わったら、[= : ENTER]キーを押し計算結果を表示させます。

EL5160J_009

計算結果の表示

6)1つの値だけを変化させて再計算する

次に、NZおよびPの値は変化させずに、eのみ値を変化させて計算します。

上記1)~2)の手順は同じです。フォーミュラメモリで利用される[A]~[F]、[M]、[X]および[Y]のメモリは、一度値を記憶させると、クリアされるまで値を保持しています。ここが便利なところですよね。

実際に[MATH] > [1:ALGB]キーを押した後に、以前入力した[A]の値が表示されると思います。

EL5160J_005

メモリ[A]に保持されている値

これをそのまま使いたい場合には、数字を何も入力せずに[= : ENTER]キーを押します。
今回は、eつまり、[B]の値を0.05から0.03に変更して計算してみましょう。

[A]の入力が終わると[B]が表示されますが、ここに新しい[B]の値0.03を入力し[= : ENTER]キーを押します。

EL5160J_010

メモリ[B]の値を変更

その後、[C]および[D]は変更しないのでそのまま[= : ENTER] [= : ENTER]を押します。

7)計算結果の表示

上記手順が終了すると、[B]を変化させて計算されたnの結果が表示されます。

EL5160J_011

[B]が0.03の時の計算結果

このように、フォーミュラメモリを利用すると、式中に含まれる変数の任意の値だけ変化させて連続して計算を行うことが出来ます。

表計算などをEL-5160Jを使って行う場合には、とても便利な機能ですね。

関数電卓はこのように楽しい機能が盛りだくさんです。

使いこなして、計算のエキスパートを目指しては如何でしょうか?

Sharp EL-5160J (その1)

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